『抽象度を上げる』とは?ビジネス成功のカギを握る思考法

「なぜ、問題の本質を見抜けないのか?」

ビジネスの場面で、日々のタスクに追われ、本当に解決すべき課題を見失うことはありませんか? その原因の一つは、視点が低い、つまり抽象度が低いところにあります。視点を上げて課題の本質を見抜くことで、解決策の質が劇的に向上します。

本記事では、抽象度を上げる思考法の具体的な実践方法とその効果を解説します。

抽象度とは何か?

抽象度とは、抽象的かどうかの度合いのことです。対角にあるのは具体的です。つまり、具体的な状態から、抽象的な状態に進んでいくことを、抽象度を上げる、と言います。

ビジネスで考えてみましょう。ビジネス戦略においては、 原則 → 戦略 → 戦術 の順に抽象度が下がります。戦術は具体的な手段、戦略は大きな計画、原則は全体を貫く理念や目的です。抽象度を上げるとは、この階層を上がることで、今取り組んでいる課題をより広い視点で捉えることを意味します。困った時は、理念や原則に立ち返る、というのは、まさに抽象度を上げるということをしていることになります。

わかりやすい例として、飲食店の経営を考えてみましょう。

飲食店の例

戦術レベル: メニューを増やしたり、味を改善する。

抽象度を上げると?
「そもそも何を提供しているのか?」という視点に立ち戻ると、食事ではなく 「居心地の良い空間」 が本質だと気づくかもしれません。その結果、フリーWi-Fiや清潔感など、空間を魅力的にする工夫が真の解決策となります。

なぜ思考の抽象度を上げる必要があるのか?

抽象度を上げると、以下のような効果が得られます。

1.問題の本質を発見する

例: 「メニューを増やしたい」という表面的な問題から「店のコンセプトが伝わっていない」という本質的な課題に気づける。

2.斬新な解決策を得られる

例: ドリルを買う人は「穴を開けたい」だけでなく、その先の目的(棚を設置して部屋を整理するなど)を求めています。これに気づけば、新製品のアイデアが生まれる可能性があります。

3.顧客視点で考えられる
例: スターバックスの「第3の場所」というコンセプトは、単なるカフェではなく、居心地の良い空間を提供することを目的としています。

5回の「なぜ?」で問題の本質に迫る

抽象度を上げる簡単な方法として、「なぜ?」を5回繰り返して考えます。

飲食店の例

問題: メニューを増やしたい。

なぜメニューを増やしたいのか?: 選択肢が増えた方が客が喜ぶから。

なぜそう思うのか?: 店にないメニューを聞かれることが多いから。

なぜ店に無いメニューを聞かれると思う?: 店のコンセプトが伝わっていないのかもしれない。

なぜ伝わっていない?: コンセプトが曖昧で統一感がない。

    この結果、メニューを増やすよりも、店のコンセプトを明確にし、統一感を持たせることが真の解決策であるとわかります。メニューに限定して考えると、視野が狭くなってしまいます。まずは『メニュー』から抽象度を上げるための質問をして、より高い視点からの解決策を模索しています。

    抽象度を上げるコーチングやコンサルの実例

    クライアントが「新規顧客が増えない」と悩んでいる場合を考えます。

    1.戦術レベルの提案:

    広告の予算を増やす、投稿頻度を上げる。

    2.抽象度を上げると?:

    新規顧客から顧客全体に抽象度を上げてみることで、顧客の定着率が低いことがわかるかもしれません。その場合、新規獲得に力を入れるより、サービスの質を上げることで解決につながるかもしれません。

    このように、抽象度を上げた思考は、提案内容をより効果的なものに変えます。

    実践:日常で抽象度を上げる練習

    抽象度を上げるスキルは、日常生活でも鍛えられます。

    家庭の例

    問題: 掃除が面倒。

    なぜ? → 掃除道具が使いづらい。

    なぜ使いづらい? → 収納場所が悪い。

    なぜ収納場所が悪い? → 収納スペースが散らかっているから。
    このように考えると、真の解決策は「収納全体の整理」にあるとわかります。

    まとめ

    抽象度を上げる思考法は、目の前の課題を広い視野で捉え、本質的な解決策を導き出す力を与えます。ぜひ、今日から「なぜ?」を繰り返し、本質を見抜く習慣を始めてみてください。それが、あなたのビジネスや生活を根本から変える第一歩となるでしょう。