広告を利用して集客するコーチやコンサルタントにとって、販売価格の設定は非常に重要です。広告費を考慮せずに価格を設定してしまうと、十分な利益が得られず、事業の継続が難しくなります。本記事では、広告費の基本指標「着席単価」の計算方法を解説し、それを活用した利益最大化の方法をご紹介します。さらに、広告を停止してしまう判断ミスを防ぐための視点もお伝えします。
着席単価とは?
着席単価とは、広告から個別面談に1人来てもらうためにかかった費用のことです。これを「原価」として考えることで、利益が見込める販売価格を設定できます。
具体例で解説
次のデータを使って、着席単価を計算してみましょう:
・CPM(広告1,000インプレッションのコスト):8,000円
・クリック率:2.5%(1,000インプレッションあたり25クリック)
・1クリックのコスト:8,000円 ÷ 25クリック = 320円
・10クリックで1リスト獲得ならCPA(1リストあたりのコスト):320円 × 10 = 3,200円
・リスト10件中、1人が個別面談に申し込む場合、
3,200円 × 10=32,000円ですが、キャンセルも考慮しなければなりません。キャンセル率50%で考えると、着席単価は、
32,000円 ÷ 0.5(キャンセル率50%)= 64,000円
となります。これが『面談1回の原価』となります。面談での成約率が100%であれば、この金額がそのまま商品の原価と考えて構いませんが、実際には成約しないケースも必ずあります。仮に、成約率が60%だとすれば、
64,000円 ÷ 0.6 = 106,666円
これが、実質の『商品一つあたりの原価』と考えられます。これをもとに販売価格を設定しましょう。
失敗例:価格設定のミス
架空のコンサルタントAさんは、広告を利用して個別面談に集客し、10万円の商品を販売していました。しかし、実際には広告で10万円を超える出費があったため、利益が出るどころか赤字になってしまいました。最終的に、Aさんは広告を「無駄」と感じ、停止してしまいました。
広告に対する判断は、今後の経営の成長を決める決断
このAさんが犯した最大のミスはどこにあるでしょうか。それは、広告をやめてしまったことです。商品あたりの広告費が106,666円であることがわかれば、商品の販売価格を高くして広告を続けるという選択肢がありました。仮に、商品価格を80万円に再設定していれば、
106,666円 ÷ 800,000円 = 0.133・・
つまり、利益率86%でのビジネスができたわけです。ROAS(広告費対効果)という指標で見れば、ROAS:750%(広告費の7.5倍売上が上がる状態)で、かなり儲かるビジネスだということがわかります。
一度広告をやめてしまった人の9割は、二度と広告に手を出しません。商品単価を上げる、という選択をしなかったことが、今後のビジネスに影響を及ぼし続けることになるのです。
このようなミスを防ぐには、販売価格の設定時に、考慮すべきポイントがいくつかあります。着席単価以外で考慮したいのが、一ヶ月の生活維持費です。
生活維持費と広告費を考慮した価格設定の方法
1.生活維持費を明確にする
まず、月々の生活に必要な最低額を把握しましょう。例えば、生活維持費が30万円の場合、月に30万円以上の利益を確保する必要があります。
2.広告費を基に着席単価(および商品あたりの広告費)を計算する
広告予算を考慮し、面談1件あたりのコストを算出します。上記の例では着席単価:64,000円、商品あたりの広告費:106,666円でした。
3.販売価格を設定する
販売価格を、生活維持費と商品あたりの広告費考慮して決定します。たとえば、以下のように計算できます。
一個販売で2ヶ月分の生活費を賄いたい場合:生活維持費60万円 + 商品あたりの広告費106,666円 = 706,666円
⇒商品価格を80万円に設定すれば、2ヶ月に1つの商品販売で余裕を持って生活が維持できる。
※消費税、法人税の支払いが後々発生するため、厳密にはその分も考慮する必要があります。
広告を止めてしまうリスクを回避するには?
先ほども話しましたが、広告を止めるということは、強力な販売方法を失うことであり、今後のビジネスの成長に大きな影響を及ぼすものです。正しく広告を分析する『数値』を自分の中で持っていなければ、『広告費でお金が減っていく恐怖』により、広告を止めてしまうことになります。
まずは、広告の仕組みを理解し、ステップごとに確認する『数値』を理解することが必要です。広告停止の判断をする前に、様々な観点からその判断が正しいかどうか検討するようにしましょう。