お客さまは何のために来店するのか?

あなたのお店に来るお客様は、何のために来店してくれているのでしょうか?この問いに、正しい回答ができるお店はさぞ繁盛していることでしょう。飲食店ならば、食事にしに来ている、と考えるかもしれませんが、その答えが100点とは言い切れないのです。

イノベーションのジレンマ』の著者としても有名なクレイトン・M・クリステンセンは、著書ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』の中でこう言っています。お客さまは自分のジョブを片付けるためにお店に来ている、と。

 

ジョブ理論
ジョブ理論/クレイトン・M・クリステンセン著

ジョブを片付ける、とはどういうことでしょうか?事例をいくつか見ていきましょう。

事例:CoCo壱番屋の来店理由

カレーを提供するチェーン店、CoCo壱番屋はなぜ店内で無料で漫画が読めるのか?これは、来客の少ない時間帯(午後3~5時頃)の集客を意図したものといわれています。その時間に食事をする人は少ないが、なんとかその時間にコーヒーだけでも来客してほしい。そこで、無料Wi-Fiやコンセントなどを充実し、店内で漫画を読んだりPCを使ったりできるようにしたのです。それによってCoCo壱番屋をカフェや漫画喫茶代わりに利用する来客が増え、「新しい来店理由」の客層を取り込むことに成功したのです。

理由は複数あっていい

CoCo壱番屋の例からもわかるように、来店理由は決して一つではありません。喫茶店に来るお客様が、純粋に「コーヒーが飲みたいから」来店している、という事はむしろ少ないでしょう。一人でゆっくりしたい、待ち合わせの時間つぶし、など別の理由がメインではないでしょうか。

では、以下の例について、考えてみましょう。

・急いでいるとき
・仕事がしたいとき
・暑い時(寒い時)
・食事の後、お酒の後に

例えば、急いでいるとき。すばやく提供されたり、サッと買えて片手でも食べやすいテイクアウトがあると便利ですよね?仕事がしたいときなら、Wi-Fiや静かなスペースがあると助かりますよね(カラオケ店が仕事用に場所提供するサービスも増えてます)。また、誰かと話したい時に行く店、逆に、誰にも会いたくない時、なんてパターンもありますね。

理由は、朝と夜でも変わります。飲んだ後の〆のラーメンと、朝ラー(朝からラーメンを食べる事)のラーメンでは、食べたい理由が異なるため、量や好まれる味も違うかもしれません。

どんな用事を解決したいから来店してくれているのか。自分のお店の立地、周辺環境や来客の多い時間帯、メニューなどを踏まえた上で、一度しっかり考えてみましょう。