クレドが組織を変える?事例を見ながら必要性を考えてみよう

クレドをご存じでしょうか?クレドとは、「組織の行動指針や信条などを簡潔に表したもの」です。例えば、お店の責任者がいないタイミングで、何かトラブルがあった場合、しかも過去に無いパターンのトラブルだった場合に、現場はどう動いていいか悩むはずです。そんな時に、現場のスタッフが行動の指針とするのがクレドになります。

実際に、名刺サイズのクレドが書かれたカードを常に持ち歩いている営業マンに出会った事があります。「悩んだ時はそこに書かれている判断基準に沿って行動できるので、繰り返し確認して内容を丸暗記している」とおっしゃっていました。

事例も交えて各社のクレドを見ていきましょう。

事例1:リッツ・カールトン・ホテル

リッツ・カールトンの初代社長でクレドをつくったホルスト・シュルツィ氏は、リッツ・カールトンの成功の秘密を聞かれた際にこう答えたといいます。

「秘密はこれしかない。このクレドカードが全てだよ」

気になるクレドの中身ですが、

リッツ・カールトンはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています。

私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだ、そして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。

リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしておこたえするサービスの心です。

この中にある「お客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みして」といった部分などは特にわかりやすい部分かと思います。この言葉が無ければ、従業員の立場で基本サービスの枠を超える動きを取る事はなかなか難しいでしょう。

クレドが浸透する事で、その姿勢が従業員からお客様へとつながり、それが口コミとなって次のお客様へと繋がっていくのです。

事例2:楽天

楽天の場合、「成功の5つのコンセプト」として5つのクレドを掲げています。

①常に改善、常に前進
②Professionalismの徹底
③仮説→実行→検証→仕組化
④顧客満足の最大化
⑤スピード!!スピード!!スピード!!

楽天のクレドからは「プロとしての自覚を持って最速で改善しろ」という、まさにウェブ業界のスピード感を体現した気迫を感じます。実際に楽天の事業展開の速さを見ていると納得してしまいます。

なぜクレドが必要なのか?

従業員の立場で一番困るのは「任せるよ」の一言。この一言をもらっていたにも関わらず、後からグチグチと「ホントはこうしてほしかった」「こういうつもりだった」と従業員に言ったことはありませんか?これは、行動の指針や判断基準が従業員に伝わっていない証拠です。

また、クレドを全力で守らなければいけないのはトップの人間です。口先だけのクレドでは誰もついてきてくれません。トップが自らその姿勢を示すことで、はじめてクレドの意味が従業員にも伝わります。自分ができないことは従業員もできません。自らの行動で示すしかないのです。