「DRMはオワコン?」進化するマーケティング手法とその本質を解説

中小企業がやるべきマーケティング手法といえば、DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)です。最近、「DRMはオワコンだ」と言われることがあります。その理由として挙げられるのが、従来の「集客⇒教育⇒販売」という3ステップが現代の情報過多な社会で機能しにくくなっている点です。しかし、DRMは本質を理解すればむしろ進化している手法であり、今後も重要な役割を果たし続けるでしょう。

DRMとは? その基本をおさらい

DRMは、広告やメールを通じて見込み客を集め、教育し、販売につなげるマーケティング手法です。その最大の特徴は、顧客との直接的なコミュニケーションを重視する点にあります。

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の4媒体がかつては広告、宣伝の主流で、この4つを4マスと呼びます。これらを活用したマーケティング手法を、『マスマーケティング』と呼んでいます。しかし、マスマーケティングを行うには、膨大な広告予算が必要になってくるため、中小企業にとってはハードルが高いマーケティング手法となっています。

マスマーケティングでは、ターゲットを絞り込まず、広い範囲に周知させるのに向いていますが、DRMは、ターゲットを絞り込んで訴求するため、『認知』ではなく『刈り取る』ことを目的としています。

「DRMはオワコン」と言われる背景

1.情報過多による顧客離れ

現代では、人は1日に4000以上の広告にさらされていると言われています。この結果、教育フェーズで時間をかけすぎると、顧客が離れてしまうことがあります。

実際に、個別の説明会に来る人の中には、同時期に他の説明会に参加されている人も多く、『他の講座に申し込んでしまったから』という理由で成約しないことも頻繁に起きています。

2.新たな手法の台頭

一部のマーケターは、「集客⇒教育」の間に顧客が離れる課題を解決するため、新たなステップを導入しています。例えば、100円の電子書籍販売やサブスクリプション無料体験を活用して、集客の時点で顧客化を進める手法です。電子書籍の場合、受け取り先を会員サイトとすることで、顧客として囲い込み、会員向けコンテンツを複数見せることで教育を進める、というプロセスを取ります。このアプローチにより、「集客⇒顧客化⇒教育⇒販売」という新しい流れが生まれています。

サブスク活用:DRMの進化する可能性

特に注目されるのがサブスクリプションモデルの活用です。一部のマーケターは、以下の手法を実践しています:

・サブスクの無料体験で動画コンテンツや特典を提供し、顧客との信頼を構築。

・サブスクを教育の場として活用し、販売へスムーズにつなげる。

例えば、無料のサブスクコンテンツの中に、5日間限定の無料個別セッションの案内を設置しておきます。商品の説明会ではなく、課題解決のための無料特典、という見せ方をすることで、申し込みのハードルが下がり、そこからバックエンド商品の販売につなげる、という手法を取り入れるマーケターが増えています。

また、サブスクをフロント商品とする場合があります。月額4,980円の商品が、一年契約だと月額2,980円といった手法で、低価格のフロント商品としてサブスクを販売した後に、より高単価な商品の販売につなげていきます。この場合、一年間たっぷり教育期間を作ることができます。つまり、サブスクが登場したことで、フロント商品での教育の質が変わり、教育のレベルを超えた「ファン化」が期待できます。「集客⇒教育⇒販売」という従来の流れから「集客⇒販売⇒教育、ファン化⇒追加販売」というさらなる進化をしています。

「DRMはオワコン」論の矛盾

興味深いのは、「DRMはオワコン」と主張する人々自身が、DRMを駆使している点です。このキャッチコピーで顧客の関心を引き、直接的なコミュニケーションを図る、という典型的なDRMの手法を活用しているのです。

つまりこれこそが、DRMがオワコンではない証拠となっています。

未来のDRM:さらに進化する可能性

現在進行形で進化するDRMの手法としては、広告からメールの登録をさせずにそのまま販売につなげる手法も登場しており、さらに柔軟な形態へと変化する可能性があります。例えば、AIを活用したパーソナライズ教育や、リアルタイムでの顧客対応が次のトレンドとなるかもしれません。

DRMの本質は、「顧客との直接的なつながり」を構築することです。この基本を理解し、時代に合わせて柔軟に進化させることで、今後もマーケティングの基盤として機能し続けるでしょう。