やらないことを決める

何をやるか、やらないか、は事業の生命線

事業が軌道になりつつある時に、「早め早めに手を打ちたい」という想いから新しいジャンルの商品や商売に手を出したくなる時があります。でも、本当にその方向は正しいのでしょうか?何をはじめるかによっては、軌道に乗りつつある現状の事業に致命的なダメージを与える場合もあるのです。その理由について、3つ挙げたいと思います。

理由1:強みが無くなってしまう

例えば、ナポリタン専門店がカルボナーラをはじめたらどうでしょうか?お客さんは混乱してしまいますし、『専門店』の認識から一般的な『パスタ屋さん』になってしまい、専門店の強みが無くなってしまいます。また、『ナポリタン専門店』として打ち出していた場合には、タイトルに偽りあり、となってしまいます。あくまでナポリタンの括りの中で品揃えを増やしたり、イメージが損なわれない商品の追加なら問題無いのですが、選択を間違えると致命傷です。

こんな間違い、なかなかしないでしょう?とお思いかもしれませんが、以前取引先が同じようなことをしていました。なぜそうなったのか?その時は、展示会でたまたま『コンセプトからは外れるけれどとても魅力的な商品』に出会ったことがきっかけでした。その商品はとても魅力的でしたが、サイトに訪れるユーザーが求めるコンセプトとはズレていました。このようなことを繰り返すうち、どんどんそのサイトは焦点がずれてしまい、対象を広げた分誰にも刺さりづらいサイトになっていったのでした。

理由2:資源が分散してしまう

コンセプトからずれたことをはじめてしまうと、あらゆる資源が分散します。仕入れるお金、作業の流れ、スタッフの作業、あらゆるところで今までと違う工程が発生し、それにより当初の事業に使える時間やお金も減ってしまいます。新しいものを軌道に乗せるには相当な資源が必要であるため、その間に順調だった既存事業自体に悪影響を及ぼす可能性があります。

理由3:既存客を失うことも

強みが無くなり、また強みだった事業への資源が減ると、当然既存ユーザーから見た場合に魅力が減っていきます。例えば、今まではニッチな品揃えを売りにしていたショップが、売れにくいアイテムをカットして一般的な商品を増やしてしまえば、「あれもこれも揃っている専門店」ではなくなってしまいます。そうなってしまうと、結局大手ショッピングモールの品揃えには勝てないので、ユーザーからは『中途半端な品揃えのどこにでもあるショップ』と見られてしまい、結果ユーザーが離れていってしまいます。

迷ったときは、ミッション、コンセプトに立ち返る

判断に迷ったときは、事業のミッション、コンセプトに立ち返りましょう。お店のコンセプトから外れていないか。お店の売りは何なのか。やることよりもやらないことを決める方が、よりお店のコンセプトからブレないお店作りができると思います。新しいことを始める際は、意識してみてください。